一旦は紛争事件が話し合いで解決できずに訴訟沙汰になっても、全ての事件に判決がなされるわけではありません。
むしろ、判決前に和解成立したことにより、紛争事件が解決する場合の方が多いです。
判決に至らずに和解で事件が終わると、一般的に次のようなメリットがあると言われています。
①訴訟手続を早期に終了させることができる。
判決前に和解に至れば、その分早く紛争が解決します。証人尋問等の証拠調べが省略できた場合は、特に心理的負担の軽減は大きいものがあります。
また、判決であれば,控訴や上告がなされる可能性がありますが、和解ではその可能性がありませんので、その分早期に解決できるといえます。
②相手方の任意の履行が期待できる。
判決の場合は、相手方が任意に履行しない場合も多く、その場合は強制執行を行う手間や費用がかかりますが、和解の場合は、一応相手方が履行を約束するわけですから、任意の履行が見込めます。
③紛争の実態に即した柔軟な解決方法を選択することができる。
判決によると,法律に形式的に当てはめた、100%勝訴もしくは全く敗訴の100か0かの結論となる場合が多いですが、和解の場合は、お互いが同意できる範囲で柔軟な解決が可能です。場合によっては、お互いにとってプラスとなる解決方法をとることも可能になります(win-winの関係)。
判決では負ける可能性がある側にとっては、完敗を回避することもできるという見方もできます。
以上のようなメリットからして、判決になった場合を想定して経済的には多少の損になる可能性があったとしても、和解で終了した場合の方がましだ、と判断される場合が多くあります。
判決前に和解ができて紛争が解決する場合の方が多くなる理由です。